①線形分類問題(2値分類)
第一問
- 設問1.入力x1、x2、正解ラベルtが (x1, x2, t) = (2, 2, 0)、(-2, -2, 1) で、それぞれにガウシアンノイズが付加されたデータセットを作成せよ
- 設問2.入力(x1, x2)に対する重みを(w1, w2)としてシグモイド関数を活性化関数として出力yを求めよ
- 設問3.クロスエントロピーを損失関数として損失量を求めよ
- 設問4.損失関数のW=(w1, w2)による微分式を求めよ
- 設問6.勾配降下法を用いてパラメータを更新し、イテレーションを30回繰り返した後の出力yを求めよ
- 設問7.損失量の推移をグラフ化せよ
- まとめ
ディープラーニングでトライできる問題として、回帰問題に続き、「分類問題」にチャレンジしていきたいと思います。2次平面上にプロットされ、「0と1」にラベリングされている集合データをディープラーニングで分類してみます。
今回もPYTHONISTA3でコードを書きながら解いていってみましょう。
設問1.入力x1、x2、正解ラベルtが (x1, x2, t) = (2, 2, 0)、(-2, -2, 1) で、それぞれにガウシアンノイズが付加されたデータセットを作成せよ
さて、今回は分類問題にチャレンジです。設問を見ると、入力がx1とx2と増えています。これは2次元平面上にx座標、y座標としてプロットできるということですね。(2, 2)の座標にあたるデータの正解ラベルが「0」、(-2, -2)の方は「1」ということですね。イメージはこんな感じ。
ではコードで書いていってみます。いつも通りnumpyとmatplotlibをインポートするんですが、今回は2次平面なのでmatplotlibのカラーマップも合わせてインポートします。
import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt import matplotlib.cm as cm
次にサンプル数(num_of_sam)とガウシアンノイズの広がり具合(std_dv)を定義しておきます。データ数は40、広がり係数は1.8としましょう。
num_of_sam = 40 std_dv = 1.8
では実際に座標を設定します。
group1 = np.array([2,2]) group2 = np.array([-2,-2])
このままではただの点なので、ガウシアンノイズをのせたサンプル数を足します。
group1 = np.array([2,2])+np.random.randn(num_of_sam, 2)*std_dv group2 = np.array([-2,-2])+np.random.randn(num_of_sam, 2)*std_dv
さらに、group1、group2をひとつのデータセットになるように結合します。このXの1列目がx1、2列目がx2にあたります。
X = np.vstack((group1, group2))
グラフ化してみます、ただノイズの広がりが1.8だと大きすぎて分からないのでグラフは「std_dv=0.5」で描いています。「X[:,0]」と「X[:,1]」がそれぞれx1、x2、グラフのx座標とy座標です。
plt.plot(X[:,0], X[:,1], 'o') plt.show()
うまくできています。しかし、今の状態では正解ラベルがないので全て同じ点(同じ色)の集合になっています。それぞれのグループに「0」と「1」を設定します。
t_group1 = np.zeros((num_of_sum, 1)) t_group1 = np.ones((num_of_sum, 1))
Xと同じように結合します。
t = np.vstack((t_group1, t_group2))
データセットの完成です。カラーマップでグラフ化してみましょう。ノイズの広がりは「std_dv=1.8」に戻します。「vmax、vmin」は色を表す値の最大、最小です。正解ラベルの0と1に対応しています。「cmap=cm.bwr」は色の種類を示しています。今回は0が青、1が赤の設定です。
plt.scatter(X[:,0], X[:,1], vmin=0, vmax=1, c=t[:,0], cmap=cm.bwr, marker='o', s=50) plt.show()
いい感じです。この問題は「線形分類」なので、直線でこの2グループを分類します。とにかく進めていきましょう。
設問2.入力(x1, x2)に対する重みを(w1, w2)としてシグモイド関数を活性化関数として出力yを求めよ
ディープラーニングの問題解決フローは同じなので、ご察しの通り次はニューラルネットワークの設計です。入力はx1とx2、出力は0か1かをラベリングするyひとつなので、こんな感じ。
出力には非線形回帰で用いたシグモイド関数を使います。ここで使う関数を活性化関数と呼びます。正解ラベルは0か1なので、この間で推移するシグモイド関数が効果的です。今回は入力が2つになっていますが、非線形回帰問題とかに比べると結構シンプルですね。
まずはシグモイド関数が使えるようにPythonの関数として定義しておきます。
def sigmoid(x): return 1 / (1 + np.exp(-x))
次に重みの初期値を設定します。w1とw2をまとめて行列Wで書きましょう。
W = np.random.randn(2,1)
準備が整ったので出力を求めましょう。XとWは線形結合(内積計算)でシグモイド関数を通します。
y = sigmoid(np.dot(X, W))
念のため、print(Y.shape)で出力の型を見ておきましょうか。正解ラベルtと型が一致しているはずです。
print(t) #(80, 1) print(y) #(80, 1)
これで設問2は終了です。
設問3.クロスエントロピーを損失関数として損失量を求めよ
流れ通り、次は損失関数の設定ですね。回帰問題でスタンダードだった二乗和誤差と異なり、今回はクロスエントロピーを用います。これも場面によっていくつか定義式があるんですが、今回は次式の定義を用いて進めていきたいと思います。
前回の二乗和誤差関数よりも複雑なので、こちらもシグモイド同様、Pythonの関数で書いておきましょう。
def loss(y, t): return -np.sum(np.multiply(t, np.log(y)) + np.multiply((1 - t), np.log(1 - y)))
では設問2で求めたYとデータセットの正解ラベルtからクロスエントロピーを用いて損失量を求めてみます。
E = loss(y, t)
print(E)してみるとちゃんとスカラー値が出てきます、これで設問2は終了です。
設問4.損失関数のW=(w1, w2)による微分式を求めよ
ここの流れももうおなじみです、連鎖率を用いて記述してみます。
以上より、
ではこの内容をコードに落とします。シグマの方向に注意(axis=0)。
dW = np.sum(X*(y-t),axis=0)
以上で設問4は終了です。
設問6.勾配降下法を用いてパラメータを更新し、イテレーションを30回繰り返した後の出力yを求めよ
ここは今までどおり勾配降下法なので、コードに落とすだけです。とりあえず学習率は0.002としましょう。いつも通り損失量を保存するコードを追記しておきます。
learning_rate = 0.002 E_save = [] num_of_itr = 1 for i in range(num_of_itr): y = sigmoid(np.dot(X, W)) E = loss(y, t) E_save = np.append(E_save, E) dW = np.sum(X*(y-t),axis=0) W = W - learning_rate*np.reshape(dW,(2,1))
dWは要素が2つの行列ですが、型が(1,2)に反転しているので、reshapeでもとのWと同じ型にそろえています。これでパラメータWが更新され、出力を求める準備が整いました。
さて、これで求められる出力をどのように表示するかが問題です。普通に数字だけ出しても「それで?」って感じです。実際に2次元グラフ上に描画してみましょう。色々なやり方があると思いますが、いちばん直感的かな〜と思うのが、2次元グラフの格子点を使って出力を表示してみる方法です。入力データセットXの(x1, x2)をそれぞれ格子点として用意し、各格子点に対して更新された重みWを使って出力yを求めます。
ちょっとなんのこっちゃという感じですが、とりあえず進めます。
まずは格子点を用意します。どの範囲で表示するかをgrid_range、その範囲に何点の格子点を突っ込むかをresolutionで定義します。-5から5までの範囲を60分割するように設定します。
grid_range = 5 resolution = 60 x1_grid = x2_grid = np.linespace(-grid_range, grid_range, resolution)
これで格子点の外側の目盛りを作成できました。次に中の格子点を作っていきます。numpyのmeshgridを使うと楽に作成できます。
xx, yy = np.meshgrid(x1_grid, x2_grid) X_grid = np.c_[xx.ravel(), yy.ravel()]
これで格子点の作成が完了しました。一度グラフにプロットしてみましょう。
plt.plot(X_grid[:,0], X_grid[:,1], 'o') plt.show()
目がチカチカしますが、ちゃんと格子点がグラフを埋めていますね。
ではこの格子点におけるそれぞれの出力を求めてみます。
Y_grid = sigmoid(np.dot(X_grid, W))
出力はsigmoid関数なので、0から1までの値を取ります。正解ラベルは0か1なのでこのどちらかに入るよう、四捨五入しましょう。
Y_predict = np.around(Y_grid)
ではこの出力をカラーマップで描画してみましょう。同じ色調で描くと色がきついので格子点はalphaで透かしています。
plt.scatter(X[:,0], X[:,1], vmin=0, vmax=1, c=T[:,0], cmap=cm.bwr, marker='o', s=50) plt.scatter(X_grid[:,0], X_grid[:,1], vmin=0, vmax=1, c=Y_predict[:,0], cmap=cm.bwr, marker='o', s=50,alpha=0.3) plt.show()
いい具合に青と赤で分類できました。
設問7.損失量の推移をグラフ化せよ
【解決済】
ここで問題発生です。今回の問題では損失関数にクロスエントロピーを使っていますが、logの計算に不具合が生じます(0で割り算しちゃう系)。これはディープラーニングの本質と関係しているのかなんとも分からず、詳細を調べるのはめんどくさ…非効率なので、今回この設問はパスすることにします。回避方法がひらめいたら修正します(すんません)。【追記】少し調べたらイテレーション5回あたりからエラーが発生します。やはり学習が進んでyの値が更新されてくるとlog計算がだんだん難しくなってくる感じですかね。print(y)してみるとすごい綺麗な「1」が出力されていました。クロスエントロピーの式は「log(1-y)」を含むのでマイナス∞に発散したようです。じゃあなんでこんな綺麗な「1」が出力されるんだ?やっぱり問題が簡単すぎるのか…?【追記】嗚呼ぁぁああああ!!!!凡ミスぅうううう!!!パラメータを更新するときに学習率(learning_rate)をかけ忘れていました。つまり、学習率0.002かけるとか言っといて実は学習率1の天才ニューラルネットワークさんだったわけですね。そりゃ綺麗な「1」も出力されるよ。コレは恥ずかしい。このページのコードは修正しますがこの追記は戒めとして残しておきます。
(いろいろトラブルもありましたが)損失量をグラフ化してみます。
plt.plot(E_save) plt.show()
よく収束してくれています。損失量はけっこう残っていますが、もう少しイテレーションを回せば良くなりそうかな?
まとめ
最後にイテレーションの推移でどのように分類が進むかGIFでアニメ化します。(iPadは何回か処理落ちしましたが祈れば何とかなりました)
問題自体は難しくないですが、データセットとカラーグラフの描画に時間がかかってしまったような感じですね。回帰問題と同様、バイアスを付加していないので分類ラインは原点を中心に回転します。次回はコレにバイアスを付加して自由度のある線形分類にトライしようと思います。
全体コード
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次の問題
②線形分類問題(2値分類:バイアス付加) - 社畜エンジニア発掘戦線